「 曼殊院 (まんしゅいん) 」
詩仙堂を訪問した後に, 自転車で曼殊院へ。 徒歩だとちょっと距離があるけど, 自転車なら5分程。
曼殊院門跡へ向かう坂道の参道を進むにつれて, 勅使門周辺の見事な紅葉が近づいてきます。
曼殊院は門跡寺院で, 皇室や摂関家が住職をつとめてきたお寺。
曼殊院門跡は, 天台宗 京都五箇室門跡のひとつで, 他には, 三千院門跡 ・ 青蓮院門跡 ・ 妙法院門跡 ・ 毘沙門堂門跡。
曼殊院 紅葉の見所
勅使門辺り
勅使門の筋塀辺りの紅葉がめっちゃ, 綺麗。
ちなみに, その筋塀に引かれている白い筋の数が, お寺の格式を表しています。5本の筋は最高の格式で, 門跡寺院である証拠。
画像の先に勅使門があります。 筋塀沿いに紅葉が連続していて,すごく美しい ! !
曼殊院に入る前に入る前だけど, もうこの時点で紅葉の美しさに満足感が高い (笑)
苔の緑と地面に横たわる楓の落ち葉が, 紅葉の引き立て役。
勅使門辺りの紅葉を存分に楽しんで, いよいよ曼殊院へ。 紅葉の緩やかな坂道を登ると右手に料金所があります。
拝観料の600円を払って, 庫裡の中へ。
曼殊院天満宮
勅使門 筋塀の北端前にあるのが, 曼殊院天満宮と弁天堂。 弁天池に浮かぶ弁天島に鎮座しています。
この辺りの紅葉も綺麗。
曼殊院 案内
大玄関
庫裡を抜けて, 大玄関を飾るのは, 虎の間。 そこにあるのは狩野永徳によって描かれたと伝わる「 竹虎図 」。 見たことのない虎を, 人伝に聞いた話で想像して描いた虎の姿は, ずんぐりしていて, コミカル。 ちょっと違和感あり (^^)
ここにはヒョウも描かれているけど, 当時は, 虎とヒョウが区別されていなくて, 虎の雄と雌と考えられていたよう。
竹の間
大玄関 竹の間を飾るのは, 緑鮮やかな木版画による竹の壁紙。
孔雀の間
ここの襖絵の「 孔雀図 」は, 江戸時代後期の岸駒 ( がんく ) によるもの。
ここには, 親子の孔雀が描かれ, 人の一生を表しているといわれています。
建物の間に枯山水の小さな坪庭もあります。
左の建物の縁側の下まで白砂が敷き詰められている。 手を抜いてない ! !
中庭もあり。 次はいよいよ大書院前の庭園。
大書院前の庭園
大書院前から小書院まで続いている枯山水の大きな庭園。
水の流れを表した白砂の中に, 鶴島と亀島が浮かんでいます。
紅葉もところどころに配されているけど, それほど目立つというほどでもないですね。
紅葉を楽しむというより, 雄大な庭の美しさを実感できる。 目の保養 (^^)
紅葉は, 勅使門辺りの紅葉で十分満足させてもらったからOK ! !
鶴島に植えられた1本の松から地面と平行に進み, 斜め上に延びた枝。
私は昇龍に見えたんだけど, 説明によると ” 鶴 ” なんだそう。 だから「 鶴島 」。
正面に見えるのが, 「亀島」。 画像右が鶴島。 美しい水の流れの中に2つの島が浮かんでいるのが良くわかる。
小書院の向こうの紅葉が美しい。
春には霧島つつじに彩られる亀島。 上から見られないからわからないけど, 右が亀の頭かなー。
曼殊院について
曼殊院は, 元々の始まりは比叡山。 延暦年間 ( 728~806 ) に開かれた東尾坊 ( とうびぼう ) がルーツとされています。
平安時代の中期に, 名前を「 曼殊院 」に改めています。
実は, 曼殊院は, 菅原道真 ( すがわらのみちざね ) を祀る北野天満宮と深い繋がりが。
曼殊院の前身である東尾坊の是算国師 ( ぜさんこくし ) が創設間もない北野天満宮の管理をすることになったそう。
初めは比叡山の上から通っていたけど, とても不便ということで, 場所を転々とした後, 江戸時代の明暦二年 ( 1656 ) に, 現在の東山の麓の地に移ってきました。
現在の曼殊院の姿を形作ったとされるのが良尚法親王 ( りょうしょうほうしんのう ) 。
桂離宮を開いた八条宮智仁親王 ( はちじょうのみやとしひとしんのう ) の次男で, 修学院離宮を開いた後水尾天皇 ( ごみずのおてんのう ) は叔父。
二人の血を受け継いだ良尚法親王は, 非常に美的センスに優れている人物だったそう。
書道をはじめ, 茶道 ・ 華道 ・ 絵画 ・ 建築, そして, 作庭に至るまで幅広いジャンルに才能を発揮しました。
その多彩な才能を使い完成させた曼殊院は, 「 小さな桂離宮 」 とも呼ばれています。
曼殊院 建造物
大書院 ( 重要文化財 )
曼殊院 中興の祖といわれる良尚法親王 ( りょうしょうほうしんのう ) が手掛けたもの。
卍 ( まんじ ) を崩した形の欄間や釘隠しにも特別な意匠が設けられています。 扉の引手も桂離宮に携った工房の関係者が手掛けたもので, 曼殊院が小さな桂離宮と呼ばれる理由のひとつとなっています。
小書院 ( 重要文化財 )
黄昏の間
上段を備えた最高の格式を誇る部屋。 床の間横の棚は多種類の木材を組み合わせたもので「 曼殊院棚 」として知られています。
ハ窓軒 ( はっそうけん )
良尚法親王が手掛けたとされる茶室。 八つも窓があるから明るい感じがするけど, 内側の壁を黒っぽくすることで, 暗さも共存する不思議な空間。 躙口 ( にじりぐち 茶室の入口 ) 上の連子窓は虹のような影が生じることから 「 虹の窓 」 と呼ばれています。
曼殊院 所蔵品
国宝 不動明王像 ( 黄不動 複製 )
滋賀県大津市の三井寺の黄不動像を写したといわれています。
紺紙金泥般若心経 ( 重要文化財 )
疫病の流行を憂いた後奈良天皇が国民の健康と安寧を願って, 般若心経を書き写したもの。
慈恵 ( じえ ) 大師像 鎌倉時代 ( 重要文化財 )
正月三日に亡くなったから, 元三大師 ( がんざんだいし ) 。 疫病退散の元三大師 ( がんざんだいし ) の名でも知られています。
疫病の流行や災害が頻発したときに, 人々を救いたい一心で, 鏡の前で座禅をしていると, 大師の姿が ” 鬼 ” ‘になって鏡に映ったそう。 弟子がそれを告げると, 「 今すぐ,その姿を書き写すがよい。 」 と言って, 記録させました。
そして, それを版木に彫って, 印刷したものを人々に配れと命じました。 そのときの鏡に映った大師の姿が, 疫神除け, 病除けにご利益がある 「 角大師の護符 」 。
また, 元三大師は初めておみくじを考えたことでも知られています。 当時のおみくじは, お経を唱え, 作法に則っとった上で引くものでした。 引いたおみくじを対面で解説しながら伝えていました。 今と全然違いますね ! いつの頃からか, 簡素化されていったのかな。
曼殊院 唯一欠けているもの
国宝や重要文化財など, 約2万点の文化財や有名な茶室など, 数多くの歴史的なものを持っている曼殊院が唯一持っていないもの。
それが, 「 宸殿 ( しんでん ) 」。 歴代の天皇 ・ 皇后をお祀りする重要な場所。 門跡寺院として宸殿は一番重要な建物。 それが曼殊院にはありません。
実は関係者の方々の尽力によって, 2022年の秋に, 宸殿が再建されるとのこと。 これで晴れて, 門跡寺院として150年ぶりに完全な姿に戻ります。
来年の紅葉の時期には, 宸殿の再建が完了していれば良いですね (^^)
曼殊院 アクセス
市バス「 一乗寺清水町 」バス停下車, 徒歩20分。 叡山電鉄「 修学院駅 」下車, 徒歩約25分。
駐車場 : 普通車のみ50台無料 ( 2021年11月現在 )
曼殊院 まとめ
勅使門周辺の紅葉は, めっちゃ, 綺麗 ! ! 紅葉に関していえば, ここだけでも十分満足できる程美しい。
永観堂が塀の外からでも十分楽しめるのと同じ (笑) 残念ながら, 庭園の紅葉は少し早かったみたい。
ただ, 紅葉を抜きにしたとしても, 曼殊院の庭園は観る価値ありの素晴らしいもの。
さすが「 小さな桂離宮 」と呼ばれるだけのことはあります。
京都 神社仏閣 関連リンク
京都 紅葉スポット
所在地 | 京都市左京区一乗寺竹ノ内町42 |
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電話 | 0 7 5 - 7 8 1 - 5 0 1 0 曼殊院ホームページ |
拝観時間 | 9 : 0 0~1 7 : 0 0 ( 1 6 : 3 0 受付終了 ) |
拝観料 | 一般600円, 高校500円, 中小学生 400円 |
※ 拝観時間 ・ 拝観料等は変更されることがありますので, 寺院にご確認ください。 万が一, 間違っていたとしても, 責任は負いかねます。 予めご了承ください。
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