甲子園球場8個分の広い寺域を持つ妙心寺。
山内の40以上ある塔頭の中でも指折りの古刹が「退蔵院」。
お庭が魅力的ということで訪れてみました。
退蔵院の門をくぐるとそこは別世界。
緑の苔に覆われた趣のある庭が迎えてくれます。
元信の庭

2020年3月6日 撮影
元信の庭 (YouTube)
方丈の南と西に面して、L字型に作庭されています。
南面の庭は苔の中に赤松が植栽されたのみで、とてもシンプル。
方丈から眺める簡素な庭がかえって心を落ち着かせます。

西面の庭は、うって変わって枯山水。
白砂の流れの中にいくつもの石を配し、渓流を表現しています。
「元信の庭」は常緑樹が植えられ、いつ来ても変わらぬ美しさが見ることができる「不変の庭」。
そして、方丈の南から西にかけて一つの庭が途切れること無く続いているというのは珍しい。
普通、庭の作庭はお坊さんか庭師がやるものだけど「元信の庭」は絵師の狩野元信が設計。
この辺りも先入観にとらわれない芸術家としての感性だったのかもしれません。
時折聞こえる「鹿威し」の音が静けさを引き立てます。
余香苑 (よこうえん)
紅枝垂桜

2020年4月7日 撮影
入口の外からも見える見事な垂れ桜。
JR東海のCMにも登場しました。
陰陽の庭
入口入ってすぐの紅枝垂桜を両側から囲むように配置されているのが枯山水の「陰陽の庭」。
それぞれが独立した2つの庭だけど、二つで一つ、物事や人の二面性「陰と陽」、「影と光」を表しています。
陰の庭

晴天の日だったのでわかりにくいけど、白砂の代わりに敷き詰められているのは「黒砂」。

見慣れないものなので、暗さ・異様さが際立っています。
陽の庭

一方で陽の庭は白い砂。
陰の庭を観た後では、より眩しさと新鮮さを感じます。
用いる砂の違いで見事に陰と陽を表したお庭。
また、陰の庭は石が8つ。
陽の庭は7つ。
二つの庭を合わせて「15」。
平安時代の陰陽道の考えから,、奇数が重要視されていたから、二つの庭で七五三の奇数を表しています。
陰の庭だけ観ると非常に異様だけど、陽の庭と合わせて観ると納得できるわかりやすい表現。
余香苑 (よこうえん) は、陰陽の庭を過ぎると、広々とした空間が広がっています。
※池泉回遊式庭園で、上から流れ出す水が大海に流れ着く様を表しているのが良くわかる作庭で、流れ来る水の音が耳に心地良い。
※自然の中の山や川の景色を表現した庭園を歩きながら観賞する。

余香苑 (YouTube)
四季折々に楽しめる雄大な庭園で「元信の庭」とは対照的に変わりゆく四季の美しさを感じる『可変の庭』。
余香苑の入口に見事な垂れ桜。
そして苑内には他にも垂れ桜があるから 庭の西側 (水が流れていく下流側) から見ると、垂れ桜が借景となって美しい眺めが見られます。
四季ごとに変わる風景は、人生のように変化していく様を表しているよう。
退蔵院について
越前 (現在の福井県) の豪族・波多野重道 (はたのしげみち) が妙心寺三世の無因禅師 (むいんぜんじ) を初代住職として、応永二年 (1395) に創建。
現在の方丈 (本堂 重要文化財) は慶長年間 (1596 ~ 1615) の建築。
瓢鮎図 (ひょうねんず)

この絵は山水画の始祖といわれている如拙が足利義持の命により描いた作品で、日本最古の水墨画。
中心に描かれているのは瓢箪を持った一人の男。
川には鯰 (なまず) が描かれていて、男が鯰を捕まえようとしているように見えます。
もちろん、網でもないと捕まえるのは無理!ましてや瓢箪より鯰の方がでかいときている。
こうした無理難題をどうやって解くのか ? というのが禅問答。
将軍 足利義持は当時の京都五山の禅僧31人に答えを問うたといわれています。
そして、この難題に対してのそれぞれの答えが絵の上に記されています。
退蔵院 アクセス
・市バス「妙心寺前」バス停下車徒歩約5分
・市バス「妙心寺北門前」バス停下車徒歩約6分
・JR花園駅から徒歩約7分
詳しいアクセスをみる
大阪方面から
JR
JR「大阪駅」で新快速[京都方面 行き] に乗車
⇒「京都駅」下車後、JR山陰本線に乗換(JR京都駅が始発)
⇒「花園駅」下車、徒歩約7分
JR+市バス
JR「大阪駅」で新快速[京都方面 行き] に乗車
⇒「京都駅」下車後、京都駅前バスターミナル(京都タワー側)へ
D3乗場 | 26号系統 北野白梅町 御室仁和寺・山越 行き |
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下車 | 「妙心寺北門前」下車徒歩約6分 |
阪急+市バス
阪急「大阪梅田駅」で特急[京都河原町 行き] に乗車
⇒「烏丸駅」下車後、四条烏丸バス停へ
乗場は四条烏丸バス停(GoogleMAP)を参照してください。
E乗場(橙) | 91号系統 太秦映画村 大覚寺 行き |
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下車 | 「妙心寺前」バス停下車徒歩約5分 |
京阪+市バス
京阪「淀屋橋駅」・「北浜駅」・「天満橋駅」・「京橋駅」で特急[出町柳 行き] に乗車
⇒「三条駅」下車後、三条京阪前バス停へ
乗場は三条京阪前バス停(GoogleMAP)を参照してください。
A1乗場(青) | 10号系統 北野天満宮・御室・仁和寺 行き |
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下車 | 「妙心寺北門前」下車徒歩約6分 |
京都駅から
JR
JR「大阪駅」で新快速[京都方面 行き] に乗車
⇒「京都駅」下車後、JR山陰本線に乗換(JR京都駅が始発)
⇒「花園駅」下車、徒歩約7分
市バス
JR京都駅の中央口 ( 京都タワー側 ) の前にあるのが京都駅前バスターミナル
D3乗場 | 26号系統 北野白梅町 御室仁和寺・山越 行き |
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下車 | 「妙心寺北門前」下車徒歩約6分 |
四条河原町から
四条河原町から退蔵院へ行く市バスはありません。
阪急「京都河原町駅」で[大阪梅田 行き] に乗車「烏丸駅」下車後、四条烏丸バス停へ
乗場は四条烏丸バス停(GoogleMAP)を参照してください。
E乗場(橙) | 91号系統 太秦映画村 大覚寺 行き |
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下車 | 「妙心寺前」バス停下車徒歩約5分 |
※京都市バスの掲載内容は経年と共に変更される可能性もあるので、京都市バス時刻表で確認してください。万が一、間違っていたとしても責任は負いかねます。予めご了承ください。
退蔵院 近くの観光スポット
近くの観光スポットを見る
妙心寺
妙心寺は大好きなお寺の中の一つ。禅寺らしく必要最小限で無駄なものがなく、簡素な中に完成された美しさがあります。
甲子園球場8個分 (約十万坪) の広大な寺域で、妙心寺の境内には40近くの妙心寺派の寺院があります。境外にも多くの塔頭を持ち、石庭で有名な「龍安寺」も妙心寺の塔頭。厳かな雰囲気が漂う妙心寺は,時代劇の撮影にも度々利用されます。
妙心寺 (退蔵院は妙心寺の境内にあります)
大心院
阿吽 (あうん) 庭、正式には方丈東庭。十七の石が配置され,これらの石は仏・菩薩を表し、「そっと」手を合わせる第二の本堂としての意味が込められています。白砂と苔とで描く緩やかで優しい曲線が見るものに「安らぎ」と「平安」を与えてくれます。
そして、樹齢360年を超える霧島ツツジも春には真っ赤な色づきを見せてくれる。
大心院 (退蔵院から徒歩約3分)
桂春院
苔好き&緑好きは訪れるべきお寺。
そして、桂春院の良さがあまり伝わってないのか、集客に積極的ではないのかはわからないけど、本当に観光客が少ない!!
桂春院 (退蔵院から徒歩約7分)
法金剛院
退蔵院から徒歩約7分にあるのが「法金剛院」。
京都では数少ない律宗寺院で、五位山といいます。平安末期の姿をとどめた庭園は極楽浄土に見立てられ、極楽浄土を象徴する蓮の花の名所として特に有名で「花の寺」として知られています。
退蔵院 桜 まとめ
庭好きには、特にオススメ。
いつ来ても変わらぬ美しさが見ることができる不変の庭である「元信の庭」。
変わりゆく四季の美しさを感じる可変の庭である「余香苑 (よこうえん)」。
2つの違ったタイプの庭園を見ることができます。
京都 神社仏閣 関連リンク
所在地 | 京都市右京区花園妙心寺町35 上ル下ル西入東入について |
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電話 | 075 - 463 - 2855 |
拝観時間 | 9:00 ~ 17:00 退蔵院ホームページ |
拝観料 | 高校生以上600円, 小中学生300円(小学生未満の幼児は無料、但し保護者同伴) |
※ 拝観時間・拝観料等は変更されることがありますので、 寺院にご確認ください。 万が一、 間違っていたとしても、 責任は負いかねます。 予めご了承ください。
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