正伝寺
「 正伝寺 」
街の喧騒が嘘のようなのどかな風景が広がる洛北の地。 五山送り火の「 舟形 」山の麓にあるのが「正伝寺」。
訪れたのは, 10月の始め。山門をくぐると, 季節外れのツクツクボウシが迎えてくれました。
正伝寺 獅子の児渡しの庭園 ( 京都市指定名勝 )
「 パッと 」目の前に清々しい景色が広がります。
青い空, 遠くに見える比叡山を含めた借景, 規則正しく並べられた瓦と白壁, 美しい流れの白砂, 丁寧に刈り込まれたサツキと緑。
いくつもの素晴らしい材料で作られた極上の料理のように, 視界の中の全てが一つになって, 見るものに安らぎを与えてくれます。

この「 獅子の児渡しの庭園 」が魅了したうちの一人が, ” デビッド ・ ボウイ ” 。 ( 享年69 )
CMの撮影で京都を訪れた際に, 自らが撮影場所に指定したのが正伝寺。 撮影中に庭園を見つめ, 涙を浮かべていたそう。

右からツツジの刈込で, 「 七 ・ 五 ・ 三 」 をあらわしています。

もう一人は, ” 谷村新司 ” 。 子供のころから何度も正伝寺へ足を運んでいるそうで, 冬の静けさがことのほかお気に入りのよう。
アーチストも心奪われる風景を味わってみてはいかが。
デビッド ・ ボウイ
イングランド出身のミュージシャン、 シンガーソングライター, 音楽プロデューサー, 俳優。 1996年 『 ロックの殿堂 』 入り。 1983年, 大島渚監督の 「 戦場のメリークリスマス 」 に英軍少佐役で出演。 大の親日家で, 一時期京都に住んでいたこともある。 日本文化にも影響を受け, ステージ衣装や, 歌舞伎の 「 早替わり 」 を参考にしたパフォーマンスで観客を魅了した。 ( Wikipedia )
四季折々の 「 獅子の児渡しの庭園 」


正伝寺 血天井
「 獅子の児渡しの庭園 」を眺めるために座っている方丈広縁の上を見上げると, 「 血天井 」
関ヶ原の戦いの直前。
上杉景勝討伐のため, 畿内を後にする徳川家康は, 京都の留守役として伏見城に鳥居元忠以下400人足らずのわずかな城兵を残して東へ。
この意味は捨て駒。 多くの兵を残すこともかなわない状況でした。
西軍の石田三成方に大軍で攻められるのは必至で, 徳川家康を討つために兵を挙げた西軍は, 伏見城を攻撃, 落城させます。
その際, 割腹して果てた城兵たちの血の痕や血がついた手型 ・ 足型が残る伏見城の廊下の床板が, 実際に天井板に使用されています。
目の前に拡がる静かで安らかな風景とは対照的に, 凄惨な光景を思い浮かべるだけで, 胸が締め付けられるような息苦しい感覚に襲われます。
正伝寺 について

正式には, 吉祥山。 創建は鎌倉時代で, 初代住職は東巌慧安禅師。
弘安五年 ( 1282 ) 賀茂の神官 森経久が西賀茂の地に荘園を寄附。 現在の地に諸堂伽藍を造営し, 壮観を極めましたが, 応仁の乱で伽藍は焼失してしまいました。
豊臣秀吉の天下統一後の天正十三年 ( 1585 ) , 再興を試みますが叶わず, 江戸時代に入ってようやく再興されることになりました。
方丈 ( 重要文化財 )
伏見桃山城にあった遺構の御成殿を, 承応二年 ( 1653 ) に移築したもの。
襖絵 ( 重要文化財 )
方丈の各室の襖絵は, 狩野山楽筆。
淡彩山水図で, 中国杭州西湖の真景をあらわしています。
正伝寺 アクセス

京都駅から西賀茂車庫行 9系統, 三条京阪から西賀茂車庫行 37系統, 北大路バスターミナルから西賀茂車庫行37系統 ・ 1系統に乗車。「 神光院前 」バス停下車, 徒歩約15分。
駐車場

山門横の駐車場。
私が見た限りでは3か所, 平日なのでガラガラでした。
山門の横, 約50M上った先 ( 舗装なし草原 ) , 竹林の途中 (舗装なし, 2台位駐車可能 ) 。
アクセスが良くないので, 車で行った方が良いと思うけど, 休日は, どの程度参拝客があるかわかりません。 午前中に行った方が無難でしょう。
自転車

私は自転車で行ったけど, サイクリングがてらレンタサイクルで行くのもオススメ !
京都市中心部から1時間もあれば行けます。 きつい登りもないし, 訪問当日のように天気の良い日は, めっちゃ気持ちがいいですよ ! !
ちょっと, 寄り道。
大将軍神社 ( たいしょうぐんじんじゃ )

京都の洛北 賀茂川の西にあり, 周りを住宅に囲まれているけど, 少し行くと京都市内とは思えないのどかな風景が広がります。
大将軍神社は, そんなに大きくないけど, 平安京ができる前から西賀茂の地を守ってきた守護神。 平安京以降は, 都の北の守護神でもありました。
大将軍神社 ( 正伝寺から徒歩約12分 )
近くのラーメン屋
らぁ麺とうひち

評判通りの美味しい 「 鶏醤油ラーメン 」。
かなり旨い ! ! ! !
一口含んだときに, 醤油の香りが口の中いっぱいに広がる嬉しさ。 たまりません ! !
醤油だけの味わいだけではなく, 絶妙な油加減で, 最後まで美味しくいただけます。
らぁ麺とうひち ( 正伝寺から徒歩約20分 )
正伝寺 まとめ

静寂と安らぎ。 時間の流れも緩やかに感じられ, 心落ち着ける風景に出会えます。
アクセスも良いとは言えない分, 観光客は少なめ。 訪問したのは平日の午前中, 私以外には一人だけ。 帰る10分前に入ってきただけでした。
たくさんの人に見てほしい反面, 便利の良くないこの場所にあることに感謝する気持ちもあります。
所在地 : 京都府 京都市 北区 西賀茂 北鎮守庵町 72
電話 : 0 7 5 - 4 9 1 - 3 2 5 9
拝観時間 : 9 : 0 0 ~ 1 7 : 0 0
拝観料 : 大人400円, 高校生400円, 中学生300円, 小学生200円
※ 拝観時間 ・ 拝観料等は変更されることがありますので, 寺院にご確認ください。 万が一, 間違っていたとしても, 責任は負いかねます。 予めご了承ください。
こんばんわ!
素敵なお寺ですね!
京都は何回も訪れていますが,
こちらは知りませんでした。
今度はぜひ訪れたいと思います。
素敵な記事ありがとうございます。
ネコシバ 様
閲覧・コメント、ありがとうございます。
実は、私も少し前まで知りませんでした。
これからの紅葉シーズンでは比叡山などの借景が色づいて、
また違った趣になると思います。
これからもよろしくお願いします。
Kei