「 神社と神宮の違い 」
2018年の京都観光総合調査の結果によると京都を訪れた観光客は5,200万人以上。
その観光目的でおそらく一番人気なのは神社仏閣めぐりですよね。
京都には本当にたくさんの神社があって、このブログでも数多くの神社を紹介しています。
書いている内に、ある疑問が浮かんできました。
「神社と神宮の違い」ってなんだろう?

そして、大社、宮、社 (やしろ) もありますよね。
今まで、あまり意識もしていなかったけれど、神社・神宮・大社・宮・社の違いを調べてみました。
そもそも神社とは ?
神社とは、その土地の守神、日本神話に登場する神々、皇室や氏族の祖先の神、国家に功労のあった者・偉人そして義士などの霊を、神様として祀まつった所。
大きなくくりでは、神宮もお宮も社も大社も、すべて「神社」。
これら全てひっくるめて「神社」です。
神社=神宮、大社、お宮、社



じゃあ、それぞれの違いは何?
京都では?
ひとくくりに神社といっても、神社・神宮・大社・宮・社(やしろ) と呼び方が違います。
京都なら、八坂神社、平安神宮、伏見稲荷大社、北野天満宮、幸神社 (さいのかみのやしろ) 。
他にもたくさん。
神宮


皇室とゆかりの深い神社や祭神に「皇族の祖先」や「皇族」が祀られているのが「神宮」。
京都では平安神宮 (祭神は平安京へ遷都した桓武天皇) が有名。
伊勢神宮は、正式には単に「神宮」といい、全ての神社の上に立つ神社。
別格ですね。


大社


全国にある神社の総本社などが「大社」と呼ばれています。
元々は出雲大社のみでした。
出雲大社、伏見稲荷大社など。
宮


皇室に関係する祭神を祀っているのが「宮」。
ただし例外もあって、国家に功労があった人や偉人などを祀っているのも「宮」。
京都では、北野天満宮 (祭神は菅原道真) が有名。
また、伝統的に「宮」を名乗る神社もあります。
宇佐八幡宮 (正式には宇佐神宮) 、石清水八幡宮など。


社
比較的小さな神社で、主に土地の守神を祀るところ。
幸神社(さいのかみのやしろ)は主祭神は猿田彦神 (さるたひこのかみ) だけど、元々は「※出雲路道祖神 (どうそじん)」を祀っていました。
※ 道祖神とは厄災の侵入防止や子孫繁栄等を祈願するために村の守り神として、主に道の辻に祀られている神様。(Wikipedia)


神社 雑学
神社はコンビニより多い ? !
調べた年は違うけど、下記のように神社の数のほうが圧倒的に多いですね。
神社の数:81,162 (文化庁 平成28年)
コンビニの数:約55,000 (平成29年)
男の神様?女の神様?
神社では神様をお祀りしているけど、女性と男性がいますよね。
これ、本殿を見るとお祀りしている神様の性別がわかります。
千木 (ちぎ ) ・ 鰹木 (かつおぎ)


俗説といわれているけど、千木が地面と垂直にカット (外削ぎ そとそぎ) されていたら男の神様。
千木が地面と水平にカット (内削ぎ うちそぎ) されていたら女の神様。
ただ、ほとんどの神社の千木が地面と垂直にカット (外削ぎ そとそぎ) されているよう。
一つの目安として考えてた方が良いかもしれません。
鰹木 (かつおぎ) にしても、偶数なら女の神様、奇数なら男の神様といわれているけど、実際のところは神社によって違うみたい。
ちょっと、脱線。
外国人からすると、日本の宗教観に首をひねることがあるそう。
初詣は、だいたい神道の神社(お寺もOK)。ただ, お墓は仏教のお寺。WHY ?
一神教の外国人から見たら、「神道と仏教は違う宗教なのに、なぜ日本人は場面に合わせて使い分けてる??」



めっちゃ、不思議に思えるんだとか。
私たちは自然にやっていることなんだけど、理解に苦しむらしいんです。
そこには、江戸時代まで「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」という考えがあったからなんです。
神仏習合


日本の神様と仏教の仏様が同じであるという考え方。
仏教の仏様の姿を変えたものが、日本の神様であるというとらえ方(本地垂迹 ほんじすいじゃく) 。
一例をあげれば、大日如来の化身が天照大神(あまてらすおおかみ)としています。
京都でいえば、八坂神社も江戸時代までは、祇園感神院(明治以降は八坂神社)といい、「祇園社(ぎおんしゃ)」または「感神院(かんしんいん)」と呼ばれ、神社でもありお寺でもありました。
だから江戸時代までは、祇園感神院(明治以降は八坂神社)へ行き、神様へお詣りをして、同時にお墓参りもしていた。という場合もあったんじゃないでしょうか。※すべての神社が神仏習合の考えを受け入れていたわけではありません。
ただ、明治に入ってから大きな出来事がありました。
廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)
「 廃仏毀釈」という仏教を排除しようとする政策や運動が実行されたんです。
というのは、明治政府が「これから国の宗教は、神道(日本古来の神様)にするんだ!!」という方針を打ち出しました。
そのため慶応4年(1868)、神仏分離令(しんぶつぶんりれい)が出され、神道(神様)と仏教(仏様) が分けられてしまいました。
江戸時代の末までは神仏習合というとらえ方で、日本独自の神をうやまう神道と仏教がいっしょになっていた神社もあったけれど、明治時代になってからは別々になりました。
京都の祇園感神院も「八坂神社」と名前を変え、現在に至っています。
明治に、神社(神道)とお寺(仏教)に制度上分けられてしまったから、初詣は神社(お寺もOK)へ行って、お墓参りはお寺へ。となってしまいました。
ところで、明治に神社とお寺が完全に分けられたけど、違いはどこなんでしょう ?
神社とお寺の違い
神社は神道。日本生まれで本殿に神様をお祀りしている。
お寺は仏教。インド生まれで本堂に仏様を安置している。
神社とお寺 見た目の違い


例外もあるけど、お寺は瓦屋根。神社は※檜皮葺(ひわだぶき)など瓦以外。
だから瓦屋根だったら大体お寺さん。
但し、上の写真の銀閣寺の方丈(本堂)は屋根てっぺんの瓦の大棟(おおむね)という箇所以外は檜皮葺(ひわだぶき)。
※檜(ひのき)の樹皮を用いて屋根を覆う


神社と神宮の違い まとめ
神社・神宮・大社・宮・社(やしろ) 。
呼び方や規模の大小はあるけど、神様をお祀りしているところは全て「神社」。
神社:大きなくくりでは、神宮もお宮も大社も社も「神社」。全てひっくるめて「神社」。
神宮:皇室とゆかりの深い神社や祭神に「皇族の祖先」や「皇族」が祀られているところ。
大社:全国にある神社の総本社など。
宮:皇室に関係する祭神、国家に功労があった人や偉人など。伝統的に「宮」を名乗る神社もあり。
社:比較的小さな神社で、主に土地の守神を祀るところ。



全国の神社の数がコンビニの数よりはるかに多いということは驚きでした。


参考 : Wikipedia




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