千本通 地元の人間も知らない由来とは?
「 千本通 」
京都市を北から南へ「 ズドーン 」と縦断している長い通りが,「千本通」。 いわく付きの由来や平安時代はメインストリートだった, などのエピソードがあります。
そして,千本丸太町を中心としたエリアには, 平安京関係の史跡がいっぱいあって, なかなか面白いです。
千本通とは
上の地図のように, 千本通は北は京都市北区の鷹峯 ( たかがみね ) から, 南は七条通を過ぎ, 梅小路公園で一度途切れます。
JRの線路を南へ渡ったところから再び千本通が始まり, 名神高速道路を超えて京阪「 淀駅 」近くの京都市伏見区 納所 ( のうそ ) 交差点まで続いています。
千本通は, めちゃめちゃ長い通りです。
昭和40年代までは, 四条大宮から, 京都市北区紫野までの千本通に市電が通っていて, 三条通から今出川通の間は特に賑わっていたそう。
市電を廃止した後に, 京都市地下鉄「 烏丸線 」のように, なぜ千本通に地下鉄を通さなかったんでしょうか ?
京都駅から中央卸売市場方面へ向かい嵐電 & 阪急の大宮を通って, 北は千本北大路辺りまで結ぶ京都市地下鉄「 千本線 」という路線を造っていたら, 市電が通っていた頃の大正から昭和にかけての「千本通」の賑わいが続いていただろうなー, と思います。
千本通 名前の由来
平安時代は, 風葬が一般的。 死体を燃やすのに薪がたくさんいるから, 庶民は亡くなると都にいくつかあった風葬地へ ( 天皇や高貴な人は火葬 ) 。
ここで死体を地中に埋めずに地上に置いて, そのまま風化させていました。
カラスなどが死体をついばみ, 想像するだけでも恐ろしい光景が広がっていたでしょう。
人が死ぬことを, “土に還る” っていう表現は, ここからきたのかも。
平安時代の京都の風葬地の一つに「 蓮台野 」と呼ばれる地域がありました。
ちょうど, 船岡山の北西辺り。 現在の京都市上京区の千本通鞍馬口上ル辺り。
その蓮台野へ死者を送る道に, 卒塔婆 ( そとば ) を “千本” 立てて供養したことから, その道を「千本通」と呼ぶようになりました。
私たちが普段何気なく通っている千本通に, こんないわくつきの由来があるとは知りませんでした。
京都には, この手の怖いエピソードのある名前が, ちょこちょこありますね。
千本通もそうだけど, 京都には他にも珍しく, 変わった由来の地名や通りもあります。
千本ゑんま堂
この「 蓮台野 」の入口辺りにあるのが, 「 千本ゑんま堂 」。 千本通に面しています。
昔, 死者を送るこの辺りは, この世とあの世の境目と考えられていました。
その境目にある千本ゑんま堂では, 毎年8月7日 ~ 15日にご先祖の霊をお迎えし, 8月16日にお送りするための “迎え” と “送り” の両方の鐘を撞く習わしがあります。
そして, 千本ゑんま堂の本尊は, なんと「 閻魔さま 」。
死者はここで, 生前行いが悪ければ, 閻魔大王に地獄へ送られていたかもしれませんね。
ちなみに, 千本ゑんま堂のある辺りは,「 閻魔前町 」と呼ばれています。
閻魔さまが本尊の千本ゑんま堂にぴったりの町名 (^^) ほんとに京都には珍しい地名が多いですね。
千本通沿いにある閻魔前町もだけど, 京都には他にも珍しく, 変わった由来の地名や通りもあります。
天使突抜 ( てんしつきぬけ ) , 西院 ( さい or さいいん ) , 轆轤町 ( ろくろちょう ) , 先斗町 ( ぽんとちょう ) , 西陣 ( にしじん ) , 東陣 ( ひがしじん ) , 衣笠 ( きぬがさ ) などなど。
ちょこっと, 関連情報。
ちなみに, 平安京の東の風葬地は, 鳥辺野 ( とりべの ) と呼ばれる地域でした。 清水寺の下辺りから, 高台寺, 建仁寺,そして六道珍皇寺 ・ 六波羅蜜寺がある辺り。
いまでは, 観光で賑わう地域も, 平安時代は風葬の地だったんです。
鳥辺野との境界辺りは, 「 六道の辻 」と呼ばれ, あの世とこの世の境目と考えられていました。 そして, その境目辺りにあるのが,「 六道珍皇寺 」。

六道珍皇寺でも, 千本ゑんま堂と同じように, あの世とこの世の境目にあるお寺なので, お盆前の8月7日 ~ 10日は, ご先祖様をお迎えする「 六道まいり 」という風習があります。
ちなみに, ご先祖様を冥界あの世へお送りするのが, 大文字で有名な8月16日の「 五山送り火 」。
千本ゑんま堂のある辺りが,「 閻魔前町 」と呼ばれているように, 六道珍皇寺の辺りも轆轤町 ( ろくろちょう ) と呼ばれています。
清水焼の近くだから焼き物を回す “轆轤” でしょ ! いえいえ, この話の流れでは, そんな洒落た理由ではありません (笑)
千本通 鞍馬口辺りの観光スポット
上品蓮台寺 ( じょうぼんれんだいじ )
ちょうど船岡山の西にある蓮台野にあるのが、「 上品蓮台寺 」。 千本通に面していて, 春は門をくぐってすぐにある綺麗な枝垂桜が迎えてくれます。
聖徳太子の創建と伝えられ, 最盛期には広大な寺域を誇っていましたが 応仁の乱 によって焼失。蓮台野一帯に, 十二の子院があったことから「 十二坊 」の名で知られるようになりました。
上品蓮台寺 ( 千本鞍馬口から徒歩約3分 )
武勲神社 ( たけいさおじんじゃ )
蓮台野の東にあるのが, 船岡山。その中腹に鎮座しているのが, 「建勲神社」。
建勲神社は, 織田信長を祀る神社で, 地元の人には通称「 けんくん 」さんと呼ばれています。 本能寺の変( 1582 )の後, 豊臣秀吉が正親町( おおぎまち )天皇の勅許を受けて, 主君である信長の廟所と定めています。
武勲神社 ( 千本鞍馬口から徒歩約7分 )
千本通 鞍馬口辺りのグルメ
キッチンパパ
千本鞍馬口から徒歩約8分にあるのが, 「 キッチンパパ 」。
お米屋もやっている洋食屋。ハンバーグ & コロッケ共に美味しかった ! ! ごはんもお替り自由でおなか一杯。 数量限定で玄米も選べます。
千本通 昔々は, メインストリート。
朱雀大路

千本通御池上ル東側にある朱雀門跡の碑

横の通りが「千本通」。 今の千本通は, 平安時代の 「 朱雀大路 」。 平安京のメインストリートです !
朱雀大路は, 上の写真の朱雀門跡辺りから南 ( 写真の下方 ) にある羅城門までの, 4kmにわたって延びる平安京のメインストリートで, 幅はなんと84メートルもあり, 並木として柳が植えられていたそう。
この朱雀門の石碑辺りから北 ( 写真の上方 ) が, 平安京の中心部でした。
しかし, 鎌倉時代の末期に, 平安京の大内裏が今の京都御所のある場所へ移った後, 元あった大内裏へ続くメインストリートの朱雀大路も次第に廃れて行き, やがて朱雀大路は蓮台野へ死者を運ぶ道へと変わっていきました。
死者を弔うために道の両側にはたくさんの卒塔婆が立てられていたそう。
その数の多さから, 卒塔婆が「 千本」ある通りということで『千本通』と呼ばれるようになったのは, 前述のとおりです。
朱雀門跡近くのグルメ
大鵬
朱雀門跡から徒歩約3分にあるのが, 「 大鵬 」。
ランチとしては料金高めだけど, 麻婆豆腐はかなり本格的で, オススメ ! 人気店だから並ぶのが嫌ならOPEN直後に行くべき。 平日でも, すぐに満席になります。
たかばしラーメン BiVi二条店
朱雀門跡から徒歩約4分にあるのが, 「 たかばしラーメン BiVi二条店 」。
さっぱりしているけど, コクも十分感じられる美味しい醤油ラーメン。 麺の固さやネギ ・ もやしの量も注文できるのが有難いところ。 JR二条駅のすぐ近くで便利な場所にあります。
千本通 丸太町辺り かつては平安京の中心部
朱雀門跡から千本通を北へ徒歩約10分で丸太町通と交わります。
この辺りはかつての平安京の中心部だから, 平安京の大内裏や内裏関係の史跡が数多く存在。
住宅街を歩いていると, 突然平安京関係の碑が建っていたりします。 めっちゃ油断できない (笑)
大内裏とは, 内裏 (だいり 儀式や執務などを行う天皇の宮殿 ) や大極殿 ( だいごくでん ) ・ 朝堂院 ( ちょうどういん ) などの政庁があり, 今の京都御所のような築地に囲まれていました。

千本丸太町交差点の北東の歩道の上。 めっちゃ, わかりやすい ! !
関連情報 平安京 遷都
平城京から長岡京へ。 そしてわずか10年で平安京へ遷都。 いろんなことがあったみたいです。
主に2つの理由があったと考えられています。
千本通 丸太町辺りの宿泊施設
千本通 丸太町辺りのラーメン屋
京都千丸しゃかりき
大極殿 ( 天皇が賀正 ・ 即位などの国家儀式を行なったところ ) があった千本丸太町交差点から西へすぐのところにあるのが, 「 京都千丸しゃかりき 」。「 豚濃魚介らーめん ( とんこくぎょかい ) 」は, 濃厚でコッテリ。 コッテリ魚介好きには, めっちゃオススメです。
京都千丸しゃかりき ( 千本丸太町から徒歩約1分 )
醍ぶ ( だいぶ )
千本丸太町交差点の南西角すぐにあるのが, 「 醍ぶ 」。
見た目は, コトコト弱火で取ったであろう鶏ガラベースの透き通った清湯スープ。 口当たりはアッサリしていてまろやか。 メニューの説明の通り, 貝の旨味が口の中にふんわり拡がります。 ほんのり醤油の風味も感じられて, 後味優しい上品なスープ。
千本通 三条辺り

千本三条の交差点。 上の写真の中央のアーケードが「 三条会商店街 」
千本通は, 京都市北区鷹峯 ( たかがみね ) から伏見区まで続いている長い通りだけど, 個人的には千本三条から北の印象が強いですね。
千本三条の辺りは, 東へ向けてアーケードの三条会商店街があり, 近くのJR二条駅 & 京都市地下鉄二条駅の周りも開発が進み, とても住みやすい地域になっています。
三条会商店街
三条会商店街は, 地域密着で地元の人間が買い物に行く商店街。 錦市場 は観光客や商売向けで, 私も錦ではソフトクリームやコロッケ位しか買ったことがありません。
その点, 三条会商店街は, 色々なお店が軒を連ね, 日々の買い物にいそしむ京都人が見られます。 私もちょくちょく利用しています。 最近はお洒落な店もオープンしてきて, グルメで訪ねる観光客も増えて来ています。
千本通 三条辺りのラーメン屋
とんこつらぁ麺 嘉晴
旨い ! ! オススメです ! ! 濃厚 & クリーミーで上品な味わいの豚骨ラーメン。
大阪 箕面の人気店で15年修行をした後に開業したそう。 アーケードの三条会商店街の中にあるので, 雨が降っても安心アクセス。
とんこつらぁ麺 嘉晴 ( 千本三条から徒歩約4分 )
家系ラーメン 山下醤造
家系の醤油豚骨こってりスープ。 コクがあって後味がかなり濃厚で, 癖になる美味しさ。
店員さんが礼儀正しいです。 味良し, 接客良し。
家系ラーメン 山下醤造 ( 千本三条から徒歩約2分 )
元祖熟成細麺 香来
千本三条から徒歩約3分にあるのが, 「 元祖熟成細麺 香来 」。
鶏ベースで背油ちゃっちゃの醤油味。 京都ラーメンです。程よい濃さで, めっちゃ美味しいです !
千本通 まとめ
千本通は京都市を南北に貫く長い通りだけど, ちょっと怖い由来や, 平安時代はメインストリートの朱雀大路だったから, 平安京の史跡跡がそこらじゅうにあります。
平安京の中心部だった千本丸太町辺りは面白いエリアだけど, 交通の便が京都市バスしかなく, 正直不便に感じることが多いですね。
だから, もし千本通や平安京関係の史跡に興味があれば, 自転車で廻ることをオススメします。
あっちこっちへ, 行ったり来たりしないといけないから, バス + 徒歩はやっぱりしんどいですね。
ここに限らず, 小回りが利いて, あまり疲れない自転車が, 京都観光には一番 ! !
千本通: 京都市北区鷹峯 ( たかがみね ) ~ 伏見区 納所 ( のうそ ) 交差点まで
コメント
コメント一覧 (2件)
千本通りは淀まで続いてますよ!
匿名 様
閲覧・ご指摘、ありがとうございます。
修正しました。ありがとうございます!
これからもよろしくお願いします。
Kei