「 祇園祭 山鉾 」
祇園祭は1ヶ月にわたる八坂神社の長いお祭だと書いたけど, その中でもハイライトは, やはり 「 山鉾巡行 」。
7月17日に前 ( さき ) 祭, 7月24日に後祭の巡航が行われます。
大小さまざまな山鉾があるけど, 5つの種類に分けられます。

- 学生時代から京都大好き
- 20年以上京都・大阪で観光関係の仕事
- 今は家族の理由で大阪在住。
- その前は祇園祭の鉾町在住。
- 一児の父さん。
祇園祭 山鉾 種類
鉾 ( ほこ )


祇園祭の山鉾のイメージといえば, この鉾ですね。
長刀鉾の巡行の様子
長刀鉾の辻回し。
鉾の辻回しは迫力があります。



綺麗に回ると沿道から拍手が (^^)
鉾は, 真木 ( しんぎ ) と呼ばれる中心に取り付けられた柱の先端に, それぞれの鉾独自のシンボルが取り付けられています。


長刀鉾は「 長刀 」, 月鉾は「 月 」, 函谷鉾は「 山にかかる三日月 」など。


鉾には祇園囃子を奏でる囃子方など約50人が, ぎゅうぎゅうに詰めながら搭乗。
生身の稚児が乗るのは長刀鉾だけで, それ以外は稚児人形を載せています。
祇園祭 鉾 マップ
曳山 ( ひきやま )


鉾と形は同じだけど, 鉾の先端が松の枝になっているのが曳山。
鉾の中心に取り付ける柱に真松を使っています。
前祭では, 岩戸山 。後祭では, 南観音山・北観音山・鷹山が曳山。
南観音山の巡行
祇園祭 曳山 マップ
舁山 ( かきやま )


画像は, 浄妙山 ( じょうみょうやま )
人が舁いて ( 担いで ) 巡行する山が舁山。
主に, 日本や中国の故事などにちなんだ御神体の人形を乗せています。



巡航で一番多いのが舁山です。
役行者山の巡行
直進するときは車輪で移動するけど, 辻回し ( 90度の方向転換 ) の時は, 山を舁いで行います。
伯牙山の辻回し
祇園祭 前祭 舁山 ( かきやま ) マップ
祇園祭 後祭 舁山 ( かきやま ) マップ
船鉾( ふねほこ )


写真は, 大船鉾。
読んで字の通り舟の形をした鉾。
山鉾の中でもとりわけ形が特徴的で, 前祭では船鉾 , 後祭では大船鉾。



個人的にも一番好きな鉾。
船鉾の巡行
船鉾は後姿もめっちゃ絵になる。
大船鉾の辻回し
祇園祭 船鉾 マップ
傘鉾 ( かさほこ )


傘をさして巡航するのが傘鉾。
綾傘鉾では長刀鉾と同様, 人間の稚児6名も参加するけど, 鉾には乗らずに歩きます。
四条傘鉾の巡行
踊りの列や囃子方があり, 囃子に合わせての踊りはとても賑やかで, 見物客の拍手喝さいを受けます。
祇園祭 傘鉾 マップ
祇園祭 山鉾 数
山鉾の数は, 現在合計34基 ( 前祭 : 23基, 後祭 : 11基 )
前祭 ( 23基 )
鉾 ( 6基 )
長刀鉾・函谷鉾 ( かんこぼこ ) ・鶏鉾 ( にわとりほこ ) ・月鉾・菊水鉾・放下鉾 ※順不同
船鉾 ( 1基 )
傘鉾 ( 2基 )
曳山 ( 1基 )
舁山 ( 13基 )
螳螂山, 保昌山 ( ほうしょうやま ) , 孟宗山 ( もうそうやま ) , 占出山 ( うらでやま ) , 山伏山, 白楽天山 ( はくらくてんやま ) , 霰天神山 ( あられてんじんやま ) , 郭巨山 ( かっきょやま ) , 伯牙山, 芦刈山, 木賊山 ( とくさやま ) , 油天神山, 太子山。※順不同
後祭 ( 11基 )
船鉾 ( 1基 )
曳山 ( 3基 )
舁山 ( 7基 )
鈴鹿山, 浄妙山 ( じょうみょうやま ) , 橋弁慶山, 役行者山 ( えんのぎょうじゃやま ) , 黒主山 ( くろぬしやま ) , 鯉山, 八幡山 ( はちまんやま ) ※順不同
祇園祭 山鉾 重量


2008年の山鉾巡航時に, 御池通で測定されました。
一番重かったのは月鉾で, 11.88トン。 一番軽かったのは綾傘鉾で0.36トン。 鉾は, 鶏鉾以外は10トン越え。
祇園祭 山と鉾の違い
祇園祭の山鉾には, 鉾 ( ほこ )・曳山 ( ひきやま )・舁山 ( かきやま )・船鉾 ( ふねほこ )・ 傘鉾 ( かさほこ ) の5つの種類があることは上に書きました。
「 鉾 」と「 舁山 」&「 船鉾 」&「 傘鉾 」は明らかに形が違うからすぐにわかります。
祇園祭の山鉾の違いで紛らわしいのは, 「 鉾 」と「 曳山 」。



どちらも同じ形 (笑)
祇園祭の山鉾の違いを見分けるには, 屋根から伸びる先っぽが, 『 松の木 』なのか『 鉾頭 』なのかを確認してください (^^)
「 鉾 」と「 曳山 」の違いは, その「 真木 」。
- 鉾の場合は, 屋根の上から伸びる真木の先端に『 鉾頭 』が取り付けられています。
- 曳山の場合は, 真木の代わりに『 松の木 』が取り付けられています。



松が生えるところだから “山” なんです (^^)
これは「 舁山 ( かきやま ) 」にも当てはまります。
※松の木を取り付けない舁山もあり
※太子山は, 真木のかわりに「 杉の木 」を取り付けています
祇園祭 山鉾 動く美術館


画像は, 黒主山。



めちゃめちゃ美しい ! !


綴錦という織物なんだけれど, 日本三景 天橋立の風景がまるで描かれているよう。


船鉾 船尾の装飾



船鉾は, この後姿が絵になる ! !


大船鉾 船尾の装飾
巡航時は山鉾までの距離が遠いけど, 前祭は 7/14 ~ 7/16, 後祭は 7/21 ~ 7/23の宵々々山, 宵々山, 宵宮の期間中は, まじかで山鉾の装飾見ることができます。


蟷螂山はからくり仕掛けのカマキリが取り付けられており, ユーモラスな動きが人気を集めています。
祇園祭 山鉾 道路に穴


山鉾が建つ四条烏丸周辺では, 道路に不自然なものが。
写真は, 鶏鉾が建つ室町通綾小路上ル辺り。


鉾を建てるときに使う穴で, 鉾建て以外の時は鉄のカバー。
横の四角い石の台座は. 車輪を取り付ける前に鉾の4本の柱を置くところ。
先に書いたけど, 鶏鉾で10トン近く重量があるからアスファルトでは凹んでしまいます。


写真は, 伯牙山が建つ綾小路通新町西入ル辺り。


舁山でも, 石の台座が道路に埋め込まれています。
祇園祭 山鉾建て


釘などは一切使わず, 縄だけで組み立てていきます。
車輪にクッションの役目がないため, 縄で編むことで衝撃の吸収をしています。



長年の知恵ですね。
長刀鉾 鉾建て
祇園祭の山鉾巡行のだいたい1週間前に, 鉾建てが始まります。
上で書いたように山鉾の組み立ては, 釘などを一切使わず縄だけを使用します。


上の画像のように, まずは建っている時から90度倒した状態で組み立てられます。
ビルなどの建設のように, 上方へ順に組み立てていくわけではありません。


長刀鉾を起こす前。
長刀にはカバーが掛けられています。


長い “でっぱり” に引っかけた綱を引っ張りながら, てこの原理を利用して長刀鉾を起こしていきます。


このジャッキで綱を引いていきます。
動画時間 : 1分12秒
2022年7月11日 撮影
長刀鉾が完全な横倒しの状態から, ジャッキを使って綱を巻き上げながら, 徐々に長刀鉾を90度起こしていきます。
動画時間 : 51秒
長刀鉾がだんだん起きてきている状態。
動画時間 : 52秒
長刀鉾が半分くらい起きてきた。
動画時間 : 36秒
てこの原理を利用して, 長刀鉾の前に突き出た長い “でっぱり” の先に縄を引っかけて, 長刀鉾を徐々に起こしていきます。
動画時間 : 18秒
長刀鉾が完全に建つまであと少し。
動画時間 : 19秒
ジャッキで引っ張っている綱が緩んで, 長刀鉾が完全に建てられました ! !


長刀鉾の鉾建てが無事終了 ! !
縄だけで組み立てられているのが, よくわかりますね。


これから, だんだん肉付けをして, 7月14日の宵々々宮までに仕上げていきます。
祇園祭 山鉾 まとめ


祇園祭のイメージといえば長刀鉾に代表される6基の「 鉾 」だけど, 数では「 舁山 ( かきやま ) 」が20基で一番多い。
鉾と形は一緒だけど, てっぺんに松の木が取り付けられているのが, 4基の「 曳山 ( ひきやま ) 」。
船の形が特徴的な「 船鉾 」が2基。
そして, 山鉾巡航を華やかに彩る独特の踊りも見逃せない「 傘鉾 」が2基。
前祭 ( さきまつり ) , 後祭 ( あとまつり ) 合わせて34基, 5種類の個性的な山鉾が夏の都大路を巡航します。
祇園祭 前祭 ( さきまつり ) 山鉾 | 船鉾, 長刀鉾, 月鉾, 菊水鉾, 函谷鉾, 鶏鉾, 放下鉾, 岩戸山, 綾傘鉾, 螳螂山, 四条傘鉾, 保昌山 ( ほうしょうやま ) , 孟宗山 ( もうそうやま ) , 占出山 ( うらでやま ) , 山伏山, 白楽天山 ( はくらくてんやま ) , 霰天神山 ( あられてんじんやま ) , 郭巨山 ( かっきょやま ) , 伯牙山, 芦刈山, 木賊山 ( とくさやま ) , 油天神山, 太子山。※順不同 |
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祇園祭 後祭 ( あとまつり ) 山鉾 | 南観音山, 鈴鹿山, 浄妙山 ( じょうみょうやま ) , 橋弁慶山, 役行者山 ( えんのぎょうじゃやま ) , 黒主山 ( くろぬしやま ) , 鯉山, 八幡山 ( はちまんやま ) , 北観音山, 大船鉾, 鷹山。※順不同 |
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